眠れなかったACL敗退。遠藤航が手にしたもの
チームの悲願であったアジアチャンピオン奪回はベスト16でついえた。自ら失点のきっかけを作ってしまった遠藤の心のうちとは。
◆失敗の中に見えた成長
ただ、いくら悔やんでも試合は戻ってきません。この悔しさをどうにかして自分にとってプラスに、ポジティブなものに変えていく必要がありました。振り返ってみると、いろいろ見えてくるものがありました。
失敗をしてしまった試合ですが、成長を感じられることもありました。
それは試合中のメンタルコントロール。(以前も書いたことですが)これまでU-19代表などアジアで戦う際、先制をされると「この試合はちょっと厳しいかもしれないな」とネガティブになってしまうことがありました。ここまでよくやった、と自分に言い訳をするように、なかなか切り替えることができなかったのです。
けれど、このソウル戦では自身のミスによる失点後、しっかりと切り替えることができました。より強気に、アグレッシブに行こうと覚悟を決め、ドリブルでボールを前に運んだり、裏のスペースを狙ったパスを出したりとミスを引きずることなくプレーできたと思います。
PK戦においても「ミスをしたからこそ、絶対に蹴ろう」と心に決めていました。そうしたメンタルが奏功したのかどうかわかりませんが、このPKでは人生で初めて、キーパーの動きが完璧に読め、決めることができた。
ずっと課題に感じていた試合のなかでのメンタルコントロールができたことは、成長を実感できた部分でした。
ちなみに善成がボソッと「次、PKのチャンスがあれば絶対に蹴って決める」と言ったことも忘れられません。
前半のミスがなぜ起きたのか。これについても見えてきたものもあります。
僕には、ファーストレグのときから、前線にシンプルにボールを収めることで攻撃のチャンスを作り出せているイメージがありました。加えて、FCソウルのツートップが阿部(勇樹)さんと僕にマンツーマンのような形でプレッシャーをかけてきていたので、それをいかにかいくぐるかという課題もありました。それゆえ、シンプルに前への意識を強めることが重要であると感じていたのです。
一方で攻撃の選手からは、あまりシンプルに前に出しすぎず、後ろでしっかりと回してボールを保持してほしい、という要望が出ていました。主導権を握るレッズのサッカーをするために落ち着かせるところが欲しかったのだと思います。